ペットの終活——元気なうちにできる備え
最終更新: 2026年8月15日
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元気なうちの備えは「費用の目安を知る・連絡先を控える・希望を決めておく」の3つで十分です。
- 備えは①費用の目安②連絡先③希望の整理、の3つで十分
- 火葬費用の目安(都内・5kg前後)は合同13,800円〜(下限表示のみの業者は5,500円〜)から立会個別42,900円までと幅がある(2026年8月)
- 決めておくと、その日に焦って選ばずに済む
- 自分のほうが先に飼えなくなる場合の備えも。自治体は老齢や病気を理由とした引取りを拒否できます
ペットの終活といっても、やることはシンプルです。 元気なうちに、費用の目安・連絡先・希望をゆるく整理しておくだけで、いざというときに焦らず動けます。 順に紹介します。
元気なうちに読む理由
亡くなった当日から情報収集を始める方も少なくありません。 ですが、悲しみのなかで料金や業者を比較するのは、想像以上に負担の大きい作業です。
安置すれば1〜2日ほどの猶予はあります(目安は亡くなった日にやること3つ)。
それでも、じっくり比較検討できる心の状態とは限りません。 だからこそ、元気なうちに一度目を通しておくと安心です。
① 費用の目安を知っておく
ペット火葬の料金は、どの区分を選ぶかで大きく変わります。 いちばん安いのは、他の子と一緒に火葬してお骨が戻らない「合同」。いちばん高いのは、家族が立ち会ってお骨を拾う「立会個別」です。 都内の訪問火葬(5kg前後)だと、合同は13,800円くらいから、立会個別は42,900円ほどまでが目安です(詳細は火葬費用相場)。
業者によっては「5,500円〜」とだけ書いてあることもありますが、これは最低料金の表示で、体重や区分によって金額は上がります。 区分の違いは火葬の種類と用語集で。元気なうちに知っておくと、当日に金額面で戸惑うことが減ります。
② 連絡先をメモしておく
もしもの時にすぐ連絡できるよう、次の連絡先をメモしておきます。
- かかりつけの動物病院
- 夜間・休日対応の救急動物病院
- お住まいの自治体のペット引き取り窓口
自治体窓口の料金は自治体引き取りの料金一覧で確認できます。
③ 希望をゆるく決めておく
合同にするか個別にするか、立会うかどうか、遺骨をどうしたいか。こうした希望を、 家族の中でゆるく話しておくだけでも当日の負担が変わります。決めきらなくていい、選択肢を知っておくだけで違います。
④ 家族と共有しておく
決めた希望や連絡先は、家族の誰か一人だけが知っているのではなく、共有しておきます。 もしもの時にその場にいる人が動けない、判断できない状態でも、他の家族が代わりに動けるようにしておくためです。
⑤ お金の備え方
費用の備え方は、貯えでもペット保険でも構いません。ペット保険を検討する場合は、 商品によって加入できる年齢の上限が異なるため、検討するなら早めに情報収集をしておくとよいでしょう。 何歳まで入れるかはペット保険の新規加入年齢の一覧で確認できます。
⑥ 自分のほうが先に、というときの備え
ここまでは、この子が先に弱ったときの話でした。もう一つ、順番が逆になる場合があります。
入院した、事故に遭った、介護が必要になった。飼い主さんのほうが世話をできなくなることは、年齢に関係なく起こります。 そのとき何が起きるかは、制度を見ると分かります。
2013年に施行された改正動物愛護管理法で、飼い主には、その動物が命を終えるまで適切に飼う「終生飼養」の責任があることが法律上はっきり書かれました。 同じ改正で、もう一つ変わったことがあります。
都道府県などは、終生飼養に反する理由による引取りを拒否できるようになりました。環境省の案内では、拒否できる例として「動物取扱業者からの引取り、繰り返しての引取り、老齢や病気を理由とした引取り」が挙げられています。
つまり、「最後は自治体が引き取ってくれる」という前提は、制度としてはもう成り立ちません。
では飼えなくなったらどうするか。環境省の案内はこう書いています。 「自らの病気などによりどうしても飼えなくなった場合には、自分で新たな飼い主を探す、動物愛護団体に相談する等して、譲渡先を見つけるようにしましょう」。
自分で探す、が先に来ています。倒れたあとに自分で探すのは難しいので、元気なうちにやっておくことになります。
元気なうちに決めておくこと
- 誰に頼むか——家族、親族、友人。この子のことを知っている人がいちばん現実的です
- 頼む相手に、先に言っておく——ここが抜けがちです。手帳に書いておくだけでは、相手は知りません
- お金をどうするか——預ける相手に負担がいきます。いくら残せるか、どう渡すかまで決めておくと引き受けやすくなります
- この子の情報を1枚にまとめておく——かかりつけの病院、飲んでいる薬、食べているフード、苦手なもの。これは②の連絡先メモと同じ紙で足ります
お金を確実に残す方法として、信託や遺言を使う仕組みを扱っている専門家もいます。 ただ、費用も手続きも人によって変わるところなので、ここでは仕組みの名前を出すだけにしておきます。必要そうなら、弁護士や司法書士に相談してください。
頼む相手を1人決めて、その人に一言伝えておく。それだけで、かなりの部分が片付きます。
⑦ 元気なうちにしか撮れないもの
備えというと書類の話になりがちですが、あとから「やっておけばよかった」と言われることが多いのは、こちらのほうです。
介護が始まると、写真を撮る余裕がなくなります。撮ったとしても、寝ている姿ばかりです。 元気なうちにしか残せないものを、いくつか挙げておきます。
- 歩いている動画——走る姿、階段を上がる姿。写真より、あとで見返したときに動きます
- 声——吠える声、鳴き声、いびき。意識して録る人は少ないので、抜けやすいところです
- 肉球と鼻——スタンプにするキットもありますが、写真でも十分残ります
- あなたと一緒に写った写真——撮る側にまわってばかりで、自分が写っていないことに、あとで気づきます
歩いている動画には、実用の面もあります。歩き方の変化は、比べる相手がないと気づけません。 元気なころの歩き方が手元にあると、あとで診察のときに見てもらえます。
⑧ 「どこまでやるか」を、先に一度だけ考えておく
病気が見つかったあと、決めることが次々にやってきます。手術をするか、入院を続けるか、家に連れて帰るか。 そのときは、たいてい冷静ではいられません。
今のうちに決めておくのは、細かい方針ではなくて、何を大事にしたいかのほうです。 1日でも長く一緒にいたいのか。それとも、痛い思いや怖い思いをさせない時間のほうを長くしたいのか。
正解はありませんし、そのときになれば気持ちは変わります。それでも一度考えておけば、決める場面での迷いは減るはずです。
この判断を助ける道具として、痛み・食欲・水分・清潔・気持ち・動けるか・良い日と悪い日のどちらが多いか、という7項目をその日ごとに点数でつける表が使われています。 中身は看取りのページにまとめました。今すぐ使うものではありませんが、そういうものがあると知っておくだけで違います。
家族がいる場合は、④で書いたとおり、この話も一度しておいてください。意見が割れたまま当日を迎えるのが、いちばんつらい形です。
かかりやすい病気を、元気なうちに知っておく
犬や猫の遺伝子検査は、口の中の粘膜を採取して、その子が生まれ持った体質として特定の病気に「なりやすい傾向があるかどうか」を調べるものです。 診断ではなく、傾向があっても発症しない子、傾向がなくても発症する子がいます。結果は気をつける目安のひとつとして受け止めるのがちょうどよいと思います。
わかること・わからないこと、キットの価格比較は犬・猫の遺伝子検査でわかること、わからないことにまとめました。
決めておくと楽になる5つ
ここまでの備えよりもう少し具体的に、当日までに知っておくと迷わない5つをまとめました。
① どの区分にするか
お骨を返してほしいか、立ち会いたいかの2つの問いに答えるだけで、合同・個別一任・立会個別のどれが向いているか見えてきます。火葬の種類と用語集で確認できます。
② 予算の目安
合同13,800円〜(下限表示のみの業者は5,500円〜)立会個別42,900円までと、区分によって金額の幅は大きいです(都内9社調べ)。火葬費用相場で内訳を紹介しています。
③ 自治体という選択肢を知っておく
東京23区の引き取りは2,600〜3,100円です。民間の火葬とは別の選択肢として、自治体引き取りの料金一覧で条件を確認できます。
④ 連絡先を1つ控えておく
業者を決めきらなくても、確認すべき3点を知っておけば当日に迷いません。業者の選び方にまとめています。
⑤ 犬は死亡届が要ることを知っておく
犬は狂犬病予防法により、死後30日以内に自治体への届け出が必要です。猫は対象外です。 手続きの詳細は亡くなった日にやること3つで紹介しています。
この5つが埋まっていれば、当日どこから手をつければいいか迷いません。
読んでおくページの順番
迷ったら、この順に読むと流れがつかみやすいです。5分あれば目を通せます。
- 火葬の種類と用語集 — まず3区分の違いを知る
- 火葬費用相場 — 区分ごとの金額感をつかむ
- 業者の選び方 — 確認すべき3点を知る
- 自治体引き取りの料金一覧 — 民間以外の選択肢を知る
- 亡くなった日にやること3つ — 当日の動き方を知る
よくある質問
ペットの終活は何から始めればいい?
費用の目安を知ること、連絡先をメモしておくこと、希望をゆるく整理しておくことの3つで十分です。決めきる必要はなく、選択肢を知っておくだけで、当日に焦らず動けます。
自分が入院や介護で飼えなくなったら、自治体が引き取ってくれますか?
制度としては、引き取ってもらえるとは限りません。2013年に施行された改正動物愛護管理法で、飼い主にはその動物が命を終えるまで適切に飼う「終生飼養」の責任があることが明記されました。あわせて都道府県などは、終生飼養に反する理由による引取りを拒否できるようになりました。環境省の案内では、拒否できる例として「動物取扱業者からの引取り、繰り返しての引取り、老齢や病気を理由とした引取り」が挙げられています。
飼えなくなったとき、国はどうするように案内していますか?
環境省の案内はこう書いています。「自らの病気などによりどうしても飼えなくなった場合には、自分で新たな飼い主を探す、動物愛護団体に相談する等して、譲渡先を見つけるようにしましょう」。自分で探すのが先に来ているので、倒れてからでは間に合いません。元気なうちに頼む相手を1人決めて、その人に伝えておいてください。
自分に何かあったとき、ペットのお金はどう残せばいいですか?
預ける相手にお金の負担がいくので、いくら残せるか、どう渡すかまで決めておくと引き受けてもらいやすくなります。信託や遺言を使う仕組みを扱っている専門家もいますが、費用も手続きも状況によって変わるため、必要そうなら弁護士や司法書士に相談してください。
元気なうちに撮っておくといいものはありますか?
歩いている動画、声、肉球と鼻、そして飼い主さん自身が一緒に写った写真です。介護が始まると撮る余裕がなくなり、撮れても寝ている姿ばかりになります。歩いている動画には実用の面もあって、歩き方が変わってきたときに、元気なころの動画があると診察で見てもらえます。
延命治療の方針は、元気なうちに決めておくべきですか?
細かい方針まで決める必要はありません。決めておくといいのは「1日でも長く一緒にいたいのか、痛い思いをさせない時間のほうを長くしたいのか」という軸のほうです。そのときになれば気持ちは変わりますが、一度考えておくと迷いが減ります。家族がいる場合は、この話も一度しておいてください。
ペット火葬の費用はいくら備えておけばいい?
都内訪問火葬9社の公式料金(5kg前後・2026年8月時点)は、合同13,800円〜(下限表示のみの業者は5,500円〜)から立会個別42,900円までと幅があります。どの区分(合同・個別一任・立会個別)を選ぶかで金額が変わるため、まず区分ごとの目安を知っておくと安心です。
元気なうちに業者を決めておくべき?
決めなくても大丈夫です。選択肢と相場を知っておくだけで、当日の負担がだいぶ減ります。無理に1社に決め打ちする必要はありません。
元気なうちに何を決めておけばいい?
どの区分にするか、予算の目安、自治体という選択肢、連絡先を1つ、犬なら死亡届が必要なこと。この5つを知っておくだけで、当日に迷う場面がぐっと減ります。
備えるのは縁起が悪い気がします
無理に決める必要はありません。ただ知っているだけで、その日が来たときにあなたの負担が軽くなります。
もしもの時のためにどんな連絡先をメモしておくといい?
かかりつけの動物病院、夜間・休日対応の救急動物病院、お住まいの自治体のペット引き取り窓口の3つです。自治体窓口の料金は自治体引き取りの料金一覧のページで確認できます。書き出しておくだけで、当日にあわてて調べずに済みます。
ペットの終活、家族とは何を話し合っておくといい?
合同にするか個別にするか、立ち会うかどうか、遺骨をどうしたいかの希望を、ゆるく話しておくとよいです。決めた内容は家族の誰か一人だけでなく共有しておくと、もしもの時にその場にいる人が判断に迷わずに済みます。
犬が死亡したら届け出はいつまでにすればいい?猫も必要?
犬は狂犬病予防法により、死後30日以内に自治体への届け出が必要です。猫は同法の対象外のため、届け出は不要です。手続きの詳細は亡くなった日にやること3つのページで紹介しています。
自治体に引き取ってもらう方法は、事前に確認しておくべき?
決めておかなくても大丈夫ですが、選択肢として知っておくと当日の心の負担が減ります。東京23区の自治体引き取りは2,600〜3,100円が目安です(2026年7月時点)。詳しい条件は自治体引き取りの料金一覧のページにまとめています。
備えの費用はペット保険で準備してもいい?
貯えでもペット保険でも構いません。商品によって加入できる年齢の上限が異なるため、検討するなら早めに情報収集しておくと安心です。
参考・出典
- 終生飼養と、自治体が引取りを拒否できるようになったこと:環境省「動物の愛護及び管理に関する法律が改正されました〈一般飼い主編〉」(PDF)。 改正動物愛護管理法は平成24年9月公布、平成25年9月1日施行。
- 信託や遺贈の具体的な手続き・費用は、このページでは扱っていません。制度の内容が状況によって変わるためです。
- 費用・自治体・保険の数字は、当サイトの調査(費用・自治体・保険の各ページ)からのものです。
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