老犬・老猫の介護のコツ——床ずれ・食事・呼吸・見守りの工夫

最終更新: 2026年8月15日

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覚えておく数字は3つです。呼吸は安静時に1分40回まで、寝返りは2〜3時間おき(ただし夜は削っていい)、水は器の高さを上げるところから。どれも迷ったら受診が先です。

  • 呼吸数は15秒数えて4倍。安静時に1分40回を超えたら、様子を見ずに受診してください
  • 寝返りは昼にしっかり、夜は削って構いません。あなたが眠れないほうが先に続かなくなります
  • 水を飲まないときは器の高さ→温度→香りの順。高さを変えるだけで飲む子がいます

知りたいことから選ぶ

夜中に何度も目が覚めて、様子を見に行く。老犬・老猫との暮らしには、そんな日々もあります。 介護の悩みは、日によって中身が変わっていきます。悩みごとに、今日から試せることを書きました。 目指すのは「いい介護」ではなく、あなたが夜に眠れて、続けられる介護です。 体調に不安を感じたときは、ここに書いてあることより先に、動物病院への相談を優先してください。

① 床ずれ

寝たきりに近い子は、2〜3時間おきの寝返りが基本と言われています。 とはいえ、これを一日中、人の手だけで続けるのは現実的ではありません。

夜間の体位変換をゆるめる考え方

床ずれは、骨の出っ張った場所に体重がかかり続けることでできます。 寝返りの目的はこの圧を逃がすことで、「2〜3時間おき」という回数を守ること自体ではありません。

そして圧を逃がす手段は、寝返りだけではありません。体圧分散マットとドーナツ状のタオルにも、同じ役割があります。 だから、昼のうちにしっかり体位を変えて、夜は道具に任せる——この配分で十分です。

介護は、何週間も何ヶ月も続きます。毎晩2時間おきに起きる暮らしは、数日ならできても、続けられません。 あなたが倒れると、昼の体位変換も食事の世話も止まります。 夜を削るのは手抜きではなく、介護全体を止めないための配分です。

心配なときは、朝、骨の出る場所の皮膚が赤くなっていないかを見てください。変わりがなければ、それで足りています。 赤みや傷があるときは、自己判断でケアせず、動物病院に相談してください。

おすすめのやりかたは、以下の二つです。

※これらは一般的な工夫の紹介です。すでに皮膚が赤くなっている・傷になっている場合は、自己判断でケアせず動物病院に相談してください。

② 食事の悩み

最初に試すのは器の高さです。10〜15cmの台に上げるだけで、食べこぼしが減ることがあります。ただし大型犬では当てはまらない可能性があります(胃捻転との関連を調べた報告があります)。大型犬の場合を読んでから、獣医師に相談して決めてください。 首を下げる姿勢は飲み込みづらく、「食べたくない」ではなく「この姿勢がつらい」だけということも珍しくありません。 ふやかし方・フードの切り替え・食べない原因の切り分けは食べないときの工夫にまとめました。 病気が分かったあとの療法食についても、「食べないときの工夫」の後半で触れています。

③ 排泄

粗相が増えてきても、いきなりおむつに移る必要はありません。 トイレまで間に合わないだけの段階なら、寝床のまわりに敷くシーツの範囲を広げるほうが先に効くことが多いです。 おむつを考えるのは、寝たまま出てしまうようになってからで間に合います。

かかるお金も違います。おむつは1枚57.6円、厚型シーツは1枚12.4円で、約4.6倍の差。 1か月にすると、シーツ中心(1日3枚)で約1,100円、一日中おむつ(1日5枚)だと約8,600円になります。

買うときの注意は2つ。おむつのサイズは体重ではなく胴回りを測って選ぶこと(おむつ本体の低評価レビューは、11件中10件がサイズの失敗でした)。 そしてシーツの「厚型」表記は当てにならないこと(低評価284件の68.3%が「厚型と書いてあるのに薄い」でした)。

段階の見分け方、シーツとおむつの選び方、1か月にかかるお金の3段階の内訳は排泄ケアのページにまとめました。

④ 水分

水を飲む量が減ってきたと感じたら、次の順番で試してみてください。

  1. 器を顔の高さくらいまで上げる(首を下げるのがつらい子は、これだけで飲む量が増えることがあります)
  2. 常温〜ぬるま湯にしてみる
  3. ささみの茹で汁を数滴垂らして、香りをつけてみる

※これらを試しても飲む量が戻らない、飲まない日が続く場合は、様子を見ずに受診してください。

⑤ 呼吸が苦しそうなとき

室温を下げても苦しそうなときは、室温ではなく呼吸そのものを見ます。数え方は3手順です。

  1. 寝ている時、またはじっと安静にしている時を選ぶ
  2. お腹の上下の動きを見て、1回の上下を「1呼吸」と数える
  3. 15秒数えて4倍する

安静にしている時の呼吸が1分あたり40回を超えるようなら、注意が必要な目安です。 数え方や数字にこだわりすぎず、おかしいと思ったら迷わず受診してください。

⑥ 足腰・関節のこと

立ち上がりに時間がかかる、段差を嫌がる——シニア期の足腰の変化は、少しずつ来ます。 まずは滑らないこと(マットやコルクの床材)と、段差を減らすことが基本です。

グルコサミンやコンドロイチンなど関節サポート成分のサプリメントを取り入れる家庭もあります。 ただし、サプリメントは医薬品ではなく、効果を約束するものではありません。 歩き方がいつもと違う・痛がる様子があるときは、迷わず受診してください。犬用の関節サポートサプリを楽天で見る

シニア期は心臓の定期健診も大切になってきます。咳が増えた・疲れやすくなったと感じたら、まず受診を。 そのうえで日々の栄養面では、コエンザイムQ10などを配合したサプリメントを取り入れる家庭もあります。犬用サプリ「毎日健心」を見る

⑦ 夜間の見守りと飼い主の休息

夜間の見守りを一人で抱え込むと、飼い主さんの体力が先に限界を迎えてしまうことがあります。 家族や周囲と交代できる時間を作る、見守りカメラなどの便利グッズに頼るなど、休める工夫を取り入れてください。 別の部屋やスマホから様子を確認できるだけで、夜の緊張はずいぶん違います。Furboドッグカメラを見る

「ちゃんとやれてない」と思う夜ほど、あなたは何度も様子を見に行っています。その足音を、あの子はきっと聞いています。 完璧な介護よりも、あなたが倒れないことが一番の介護です。

⑧ 認知症・夜鳴き

年齢が上がるほど、行動の変化を示す犬の割合は増えていきます。11〜12歳で28%、15〜16歳では68%に何らかの変化がみられた、という研究があります。 夜鳴きや昼夜逆転も、この変化のひとつです。

対応の中心は、日中の運動を増やし、夕方以降の刺激を減らすこと。 散歩を朝〜昼に寄せて日中に疲れさせておき、日没後はテレビの音量や照明を落ち着かせる、という組み立てになります。

ひとつ注意があります。「老犬の夜鳴き対策グッズ」を探しても、出てくるのは若い犬の無駄吠えを抑えるしつけ用の超音波器具です。 認知機能の変化からくる夜鳴きは、しつけの問題ではありません。買う前に、まず運動と環境の見直しを。それでも変わらないときは受診してください。

DISHA(A)という6つの視点のチェック、対応の詳しい組み立ては認知症・夜鳴きのケアにまとめました。

⑨ 口のケア

「3歳以上の犬の8割が歯周病」という数字をよく見かけますが、元の論文をたどっても、この数字は出てきません。 診療記録ベースの実測は12.52%(2021年)。ただし麻酔をかけて詳しく調べると数字が数倍に上がるという報告もあり、 「検査してみないと分からない」が実態です。

家でできることは歯磨きです。歯垢は1日ほどで歯につき、3日ほどで歯石に変わるので、毎日〜1日おきが目安。 研究でも、毎日または隔日の歯磨きは週1回に比べて歯垢・歯石・歯肉炎を抑える効果にはっきり差が出ています。 週1回でも、歯石の蓄積を抑える意味はあります。

数字の詳しい話、歯磨きの続け方、「無麻酔の歯石取り」を勧めない理由は口のケアのページにまとめました。

⑩ 住まいの工夫

滑る床は、膝や股関節への負担を減らす観点で最初に見直す場所です。 マットやコルク材は全部屋に敷き詰めなくてかまいません。犬がよく通る動線だけで、負担は下がります。

敷く前に見てほしいのが、足の裏の毛と爪です。肉球はもともと滑り止めの役目をしているので、 毛が伸びて肉球が床に届いていないと、マットを増やしても効きにくくなります。 歩くときに爪の音がカチャカチャしているなら、爪が当たっている合図です。

段差の減らし方(ソファやベッドの飛び降りはスロープに)、視力の変化に合わせた照明、器の高さと水飲み場の数は住まいの工夫のページにまとめました。

⑪ 散歩サポート

歩けなくなっても、散歩をやめる必要はありません。外の空気や、匂い・音の刺激は、高齢犬の認知症予防につながるとされています。 歩く距離が減ったら、抱っこやカートで外に出る時間を作る形に切り替えられます。 心臓や関節に持病がある場合は、運動量を自己判断せず、まず獣医師に相談してください。

歩行補助ハーネスは、体重表記ではなく腰まわり・後足まわりを実測して選びます。同じ体重でも体型が違うからです。 前足用と後足用に分かれているので、買うのは弱ってきたほうの足に合わせてください。

前足用・後足用の見分け方、車椅子の価格と製作にかかる日数、ペットカートの選び方は散歩サポートのページにまとめました。

よくある質問

老犬の床ずれはどう防ぐ?

2〜3時間おきの寝返りが基本と言われています(ただし夜間は無理をしなくて大丈夫です)。低反発マットに加え、骨が出っ張っている部分にドーナツ状に巻いたタオルを当てておくと負担が軽くなることが多いようです。すでに床ずれができている場合は自己判断でケアせず、動物病院に相談してください。

シニア犬の呼吸が速いときは?

安静にしている時の呼吸を15秒数えて4倍し、1分あたり40回を目安に、それを超えるようなら注意してください。苦しそうな様子が続く・悪化する場合は、様子を見ずに受診を最優先してください。

介護がつらいときはどうすれば?

一人で抱え込まず、家族や周囲と交代する・便利グッズに頼るなど、休める工夫を取り入れてください。「ちゃんとやれてない」と思う日ほど、実はちゃんとやれていることが多いです。完璧な介護よりも、あなたが倒れないことが一番の介護です。

老犬の呼吸数はどう数える?

寝ている時、またはじっと安静にしている時に、お腹の上下を15秒数えて4倍してください。安静時に1分間40回を超えるようなら注意の目安です。数字にこだわりすぎず、おかしいと感じたら迷わず受診してください。

夜中の体位変換、できないとダメ?

夜間2時間おきに無理して続ける必要はありません。昼のうちにしっかり体位を変えておき、夜はあなたもまとまって眠って大丈夫です。飼い主さんの睡眠を削ってまで続けることが、良い介護とは限りません。

老犬が水を全く飲まないときはどうすればいい?

まず器を顔の高さくらいまで上げてみてください。それでも変わらなければ常温〜ぬるま湯にする、ささみの茹で汁を数滴垂らして香りをつける、の順で試すのがおすすめです。これらを試しても飲む量が戻らない、飲まない日が続く場合は、様子を見ずに受診してください。

老犬の床ずれはどこにできやすい?

体重がかかって骨が出っ張っている部分にできやすいと言われています。低反発マットに加えて、その部分にドーナツ状に巻いたタオルを当てておくと負担が軽くなることが多いです。すでに赤くなっている・傷になっている場合は、自己判断でケアせず動物病院に相談してください。

夜間の見守りは何を使えばいい?

家族や周囲と交代できる時間を作るのがまず大切です。見守りカメラなどの便利グッズを使えば、別の部屋やスマホからでも様子を確認でき、夜の緊張がずいぶん違います。無理のない範囲で、あなたが休める工夫を取り入れてください。

犬の関節サプリは本当に必要?

グルコサミンやコンドロイチンなど関節サポート成分のサプリメントを取り入れる家庭もあります。ただしサプリメントは医薬品ではなく、効果を約束するものではありません。歩き方がいつもと違う・痛がる様子があるときは、迷わず受診してください。

シニア犬の心臓の健診はいつから必要?

具体的な年齢の基準はありませんが、シニア期に入ったら心臓の定期健診も大切になってくると言われています。咳が増えた・疲れやすくなったと感じたら、まず受診してください。日々の栄養面でサプリメントを取り入れる家庭もありますが、医薬品ではないため効果を保証するものではありません。

老犬のおむつはいつから使えばいい?

決まった時期はありません。トイレまで間に合わないだけの段階なら、寝床のまわりに敷くシーツの範囲を広げるほうが先に効くことが多いです。寝たまま出てしまうようになったら、おむつを考える段階だと思います。段取りと費用は排泄ケアのページにまとめました。

ペット用酸素室は自己判断で使ってもいい?

いいえ、自己判断で使うものではありません。呼吸が苦しそうな様子は、まず受診が最優先です。そのうえで、獣医師の判断・指導のもとで在宅酸素という選択肢を提示されることもあります。