犬・猫の医療費とお金の備え——シニア期にいくらかかるか

最終更新: 2026年8月12日

生涯にかかる費用の実測では、犬278万4,190円・猫179万6,075円です(ペットフード協会調査)。年齢が上がるほど医療費は増え、10歳以上の年間診療費(中央値)は0〜4歳のときと比べて犬で約4.5倍、猫で約3倍になります(アニコム損保調査)。

  • 生涯必要経費: 犬278.4万円・猫179.6万円(ペットフード協会・令和7年)
  • 2025年の年間支出: 犬413,416円・猫195,427円。うち猫の治療費は前年比145.2%
  • 10歳以上の診療費(中央値)は0〜4歳と比べ犬約4.5倍・猫約3倍(アニコム損保)

うちの子が7歳、8歳と歳を重ねてくると、医療費のことが気になり始める飼い主も多いと思います。ペット終活の備えを考え始める入口として、まずはお金の面の実測値を確認しておきたいという方に向けて、生涯・年間でかかる費用の実測値、シニア期に増える出費の実例、そして備え方として保険を使う場合・使わない場合の考え方を整理しました。

年間でいくらかかっているか

アニコム損保が契約者に実施している調査によると、1年間にかけた費用の合計は次のように推移しています。

1年間にかけた費用の合計(アニコム損保調査。2021〜2024年は家庭どうぶつ白書、2025年は同調査のプレスリリース)
015万円30万円45万円2021年2022年2023年2024年2025年2021年 犬: 34.5572万円2022年 犬: 35.7353万円2023年 犬: 33.8623万円2024年 犬: 41.4159万円2025年 犬: 41.3416万円2021年 猫: 16.9247万円2022年 猫: 16.0766万円2023年 猫: 16.9281万円2024年 猫: 17.8418万円2025年 猫: 19.5427万円
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1年間にかけた費用の合計(アニコム損保「家庭どうぶつ白書」・2025年はプレスリリース)
2021年345,572円169,247円
2022年357,353円160,766円
2023年338,623円169,281円
2024年414,159円178,418円
2025年413,416円195,427円

アニコム損保が2026年3月に発表した2025年実績(最新)では、犬413,416円・猫195,427円でした。内訳では治療費の伸びがとりわけ目立ち、犬は89,120円(前年比110.9%)、猫は47,130円(前年比145.2%)です。猫の治療費は、この1年だけで4割以上増えたことになります。

ペットフード協会の調査でも、月間支出総額は年々増えています。犬は2021年14,814円から2025年18,041円へ、猫の生涯必要経費も2023年149万8,728円から2025年179万6,075円へと上がってきました。フード代や治療費など、飼育にかかるお金全体が緩やかに増えているのが、ここ数年の傾向です。

2024年の内訳(アニコム損保調査)を見ると、犬は治療費80,371円・フード代82,747円・サプリメント15,281円・シャンプー等52,353円・保険料46,354円・ワクチン等予防費35,280円・交通費24,384円・光熱費の追加分21,125円などでした。猫は治療費32,458円・フード代61,283円・保険料29,791円・ワクチン等予防費13,977円などです。治療費は支出全体の一部ですが、次で見るようにシニア期に近づくほどこの割合が大きくなっていきます。

シニア期に跳ねる出費

年齢が上がるほど診療費は増える

アニコム損保の家庭どうぶつ白書2025(対象犬801,127頭・猫269,938頭)によると、年齢が上がるほど年間の診療費は増えていきます。

年齢帯別の年間診療費(アニコム家庭どうぶつ白書2025)
年齢帯犬 平均値犬 中央値猫 平均値猫 中央値
0〜4歳52,613円21,860円39,102円15,510円
5〜9歳88,362円39,358円55,845円21,450円
10歳以上172,742円99,346円106,158円46,606円

中央値で比べると、10歳以上は0〜4歳のおよそ4.5倍(犬)・3倍(猫)です。10歳以上でよく見られる病気の中では、犬の弁膜症が平均156,244円・中央値101,981円、犬の胆泥症が平均104,598円・中央値63,118円、猫の糖尿病が平均185,402円・中央値141,883円、猫の甲状腺機能亢進症が平均109,981円・中央値84,226円でした。いずれもアニコム損保の契約者に限った実測で、無保険の飼い主も含めた一般的な相場とは限らない点は前提として知っておくとよいと思います。

手術・入院になると数万円〜数十万円

日本獣医師会が全国1,096件の動物病院に実施した調査(令和3年、金額は中央値)では、入院は1日あたり2,500〜6,250円、骨折の手術は麻酔料を除いて62,500円、避妊・去勢手術は12,500〜27,500円でした。この調査は「対応外」(その処置を行わない病院)や無回答を除いた回答施設の中央値なので、施設ごとの実際の請求額には幅があります。

保険会社が公表している実際の支払い事例を見ると、骨折の手術・入院で30万円台(チワワ・0歳、合計308,700円)、子宮蓄膿症の手術・入院で13万円台(混血犬・7歳、合計137,000円)、椎間板ヘルニアの手術・入院で33万円台(ミニチュア・ダックスフンド・3歳、MRI込みで337,650円)になったケースが公式に紹介されています。骨折の程度によってはさらに高くなることもあり、複雑骨折で入院・手術と通院を合わせて40万円台(スコティッシュフォールド、合計401,900円)になった例、急性膵炎で入院・治療と通院を合わせて14万円台(トイプードル、合計149,100円)になった例もあります。

終末期の出費、そして火葬費用

終末期になると、それまで想定していなかった出費が発生することもあります。たとえば呼吸が苦しくなったときに使う酸素室のレンタルは、基本料金と日額(または月額)を合わせて月に数万円かかる会社が多く、10社の料金比較を酸素室レンタルの費用相場にまとめています。

そして看取りのあとには、火葬の費用もかかります。金額は業者や自治体によって幅があるため、ここでは数字を挙げません。実額の比較はペット火葬の費用相場にまとめています。

備え方の一つとしての保険

ここまでの数字は、ならすと1年でいくら、という平均の話です。実際には何も起きない年と、手術で数十万円が出ていく年が混ざります。保険は、この振れ幅を毎年の保険料に置き換える仕組みです。払う総額が安くなるとは限りません。使わない年も払うかわりに、大きく出ていく年の打撃が小さくなる。そういう性質のものだと考えると、判断しやすくなると思います。

仕組みとして知っておきたい点が2つあります。1つは、加入時の年齢に上限があること。会社によって幅が大きく、7歳未満までしか入れない会社もあれば、上限のないプランもあります(ペット保険は何歳まで入れる?で条件を整理しています)。もう1つは、保険は基本的に、加入したあとに発症した病気を補償するものだということです。健康告知で申告した持病があると、特定の傷病を対象外とする条件つきでの加入になることもあります。

どちらが正解という話ではありません。まとまった出費が来ても貯金で受け止められる家計なら、保険なしで備える形もあります。ここではどの会社もプランも勧めません。上の数字と、次の自分で備える場合の考え方を並べて、ご家庭に合うほうを選んでいただければと思います。

自分で備える場合の考え方

保険を使わない場合、あるいは新規加入が難しい年齢になった場合、いくら貯めておけばよいという単一の答えは、今回調べた範囲では見つかりませんでした。ここでは代わりに、実測されている年齢別の医療費から、自分の子の場合を計算する考え方を紹介します。

たとえばペットフード協会の調査では、犬の13歳以上における年間の獣医医療費の平均は108,823円でした(0歳は58,255円)。これを12か月で割ると、月あたりおよそ9,000円が、平均的な年の医療費にあたる計算になります。猫では16歳以上の年間医療費平均が114,857円(0歳は28,500円)で、月あたりではおよそ9,600円です。

これはあくまで平均であり、上で紹介したように手術や入院が重なる年は数万円〜数十万円になることもあれば、何も起きない年もあります。自分の子の体格や持病の有無を踏まえて、どのくらいの幅で見ておくかを考える材料にしてください。毎月一定額を専用の口座に移しておき、使わなければそのまま残るお金にしておく、という考え方もあります。フード代や日用品とは別枠にしておくと、実際にいくら貯まっているかが把握しやすくなると思います。

「ペット共済」という言葉で調べると、こくみん共済やJA共済のような法律に基づく共済制度は見当たりませんでした。NPO法人が「ペット共済」を名乗って運営している例が1つありましたが、監督官庁や根拠法の記載はページ内にありません。生協が扱う「ペット保険」も、実際はアニコム損保の保険商品を取り次ぐ形でした。ペット専用の積立商品も見当たらず、見つかったのは金融機関の医療ローン(年利3.0%〜)だけです。保険に代わる制度として確立されたものは、今のところ無いというのが実態です。

よくある質問

犬・猫の生涯にかかる費用はどのくらいですか?

ペットフード協会の調査(令和7年)では、生涯必要経費は犬278万4,190円、猫179万6,075円でした。この金額は年齢ごとの平均支出を平均寿命まで足し上げて算出したもので、フード代や医療費、シャンプー代なども含みます。犬は超小型・小型・中大型で寿命が違うため、この金額も体格によって変わります。

シニア期になると医療費はどれくらい増えますか?

アニコム損保の家庭どうぶつ白書2025によると、10歳以上の年間診療費(中央値)は0〜4歳のときと比べて犬で約4.5倍、猫で約3倍でした。直近の伸びも大きく、2025年実績では猫の治療費が前年比145.2%になっています。

保険に入れない年齢になったら、どう備えればいいですか?

「いくら貯めればよい」という単一の答えは、今回の調査では見つかりませんでした。年齢別の医療費の平均額から、自分の子の場合の月々の目安を自分で計算する考え方と、実際にかかった手術・入院の実額を本文で紹介しています。手術や入院が重なる年もあれば、何も起きない年もあるという前提で、幅を持って考えるのがよいと思います。

「ペット共済」は保険の代わりになりますか?

法律に基づく制度としての「ペット共済」は確認できませんでした。NPO法人が「共済」を名乗って運営している例が1つあるほか、生協が扱う「ペット保険」も実際はアニコム損保の保険商品を取り次ぐ形でした。専用の積立商品も見当たらず、見つかったのは金融機関の医療ローンだけです。保険に代わる制度として確立されたものは、今のところ無いというのが実態です。

出典

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